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資産防衛・税務 NEW 2026.07.26(日)

【徹底試算】築古物件の不動産投資は本当に節税になるのか?~年収2000万円の会社員が1億円の築古アパートを運用したリアルな手残り~

【徹底試算】築古物件の不動産投資は本当に節税になるのか?~年収2000万円の会社員が1億円の築古アパートを運用したリアルな手残り~

不動産を活用した税金対策において、最も重要な鍵となるのが「減価償却費(げんかしょうきゃくひ)」です。

減価償却とは、購入した建物の費用を、法律で定められた耐用年数に応じて毎年の経費として分割して帳簿に載せていく仕組みです。最大の特徴は、「実際の現金の支出を伴わない経費」であるため、手元の家賃収入(現金)を残しながら、書類上の所得を低く抑えられる点にあります。

今回は、年収2,000万円(専業主婦、16歳未満の子1人)の方が、総額1億円(建物6,000万円/土地4,000万円)の物件を利回り7%で経営し、金利2.5%の25年フルローン(元利均等返済)で5年間運用したのち、6年目に同額で売却した場合のリアルな手残り試算を解説します。


1. 運用期間中(1〜5年目)の毎年の現金収支と税効果の推移

法定耐用年数を経過した木造一棟物件などの場合、建物の6,000万円を「4年」という短期間で一気に経費(減価償却費:年1,500万円)にすることが可能です。

元利均等返済のローン(年約538万円)に加え、毎年の固都税は物件価格の70%を評価額とし、標準税率1.7%を掛けた「年119万円」として試算します。この経費の算入、および「土地の取得に要したローンの利息分は損益通算できない」という税務ルールを反映した正確な5年間の推移は以下の通りです。

運用年 ① 家賃収入 ② 経費・返済(ローン+固都税) ③ 税金への影響額 毎年の純手残り
1 〜 4年目(年平均) +700万円 -657万円 +456万円 (還付) +499万円 / 年
5年目(償却終了後) +700万円 -657万円 -157万円 (納税) -114万円
5年間の運用手残りキャッシュ総額(499万 × 4年 - 114万) +1,880万円

※借入条件:総額1億円のフルローン(建物6割/土地4割)、金利2.5%、期間25年の元利均等返済(年間ローン返済約538.3万円)。
※維持経費:固都税として毎年119万円(1億円×70%×1.7%)を計上。
※1〜4年目の税金還付額(③)は、損益通算の対象外となる土地分の利息(4年間平均約94万円)を赤字額から除外した上で、税率43%を掛けて算出しています。
※5年目は償却が切れて黒字化(デッドクロス)するため、家賃から利息と固都税を引いた不動産所得に対して約157万円の追加納税が発生します。

固都税を実際の税率に即した年119万円に設定したことで、無駄な現金流出が抑えられ、1〜4年目は年間約499万円もの手残りが確保できます。5年目の償却切れに伴う納税(約157万円)を差し引いても、5年間の運用手残り総額は合計1,880万円のプラスとなります。


2. 6年目の売却時(出口)に支払う税金と残債の精算

満5年の運用を終えた6年目のタイミング(長期譲渡所得が確実に適用される期間)で、購入時と同額の「1億円」で物件を売却したとします。売却時の精算は以下の通りです。

  • 売却価格: 1億円
  • 銀行ローンの残債(一括返済): 約8,466万円(5年間で約1,534万円の元本が減少)
  • 売却伴う一括精算後の現金手残り: 1億円 - 8,466万円 = +1,534万円

5年間でローンの残高は8,466万円まで減っているため、売却によって手元に残る現金は1,534万円となります。

次に税金の計算です。建物の6,000万円はすでに4年目でフルに償却しているため、物件の帳簿上の価値(簿価)は「土地代の4,000万円」です。1億円で売却すると、税務上は売却益が出たとみなされます。

【売却益(譲渡所得)の計算】

売却価格 1億円 - 帳簿上の価値 4,000万円 = 売却益 6,000万円

6年目(5年超)の長期譲渡所得税率(20.315%)を適用し、売却時の税額を算出します。

  • 売却時にかかる譲渡所得税: 6,000万円 × 20.315% = 約1,219万円

※ミニマムタックス(最低税額負担)は考慮外としています。

売却による手残り現金(1,534万円)から譲渡所得税(1,219万円)を支払うため、売却フェーズのみの純手残りは +315万円 となります。


3. 5年間の運用+6年目売却の「トータル最終手残り」総決算

運用期間中に貯まった現金と、6年目の売却精算時の現金をすべて合算した、最終的な「純手残り」の総決算が以下となります。

フェーズ 手残り現金 内訳・概要
① 5年間の運用手残り総額 +1,880万円 家賃収入の手残り + 還付(土地利息除外後) - 5年目の納税額
② 6年目の売却時の純手残り +315万円 返済後手残 - 譲渡所得税・住民税
5年間の最終純手残り(①+②) +2,195万円 ★最終手残り

頭金なしのフルローン(元利均等25年)という条件であっても、より現実に即した固都税評価で試算した結果、5年間の「家賃収入」「税還付(土地利息除外後)」、そして「6年目出口の長期譲渡税」をすべてクリアに精算した上で、最終的に約2,195万円の純粋なキャッシュが手元に残るという、非常に手堅く合理的な結果が導き出されました。


4. まとめ

この手残り試算は、売却時にも購入時と同じ価格(1億円)を維持でき、かつ運用中に大規模な空室期間が出ないことが前提となります。いくら税金やローンの計算上は手残りが多く見えても、物件自体の価値がそれ以上に下落してしまったり、空室が続いて家賃が入らなくなってしまっては本末転倒です。

減価償却やレバレッジの恩恵を十分に受けるためには、税金の仕組みだけでなく、確実に入居者がつく立地選び、適切な修繕による価値の維持、安定した賃貸管理のトータルバランスが不可欠です。ご自身の正確な課税所得をもとに、無理のない安全な収支計画を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。

【ご注意・免責事項】

  • 本記事は作成時点の情報です。税制は変更される場合があるため、実際のお手続きの際は、必ず国税庁ホームページ等で最新情報をご確認ください。
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