「三為(さんため)」を振りかざす、自称売主業者にご用心
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前回のコラムで、「本業が忙しいサラリーマン投資家は、みずから物件を管理し、リスクをコントロールして売主として出してくれる業者を選ぼう」とお伝えしました。
これを聞いた投資家志望の皆様は、さっそくポータルサイトや業者から送られてくる資料のマイソク(物件概要書)を確認し、「取引態様:売主」の文字を探し始めます。
「よし、売主物件だから仲介手数料(物件価格の3%+6万円)が浮くぞ!ラッキー!」
もし今、そんなふうにガッツポーズをしているなら、今すぐその手を下ろしてください。その「売主」という甘い響きの裏には、仲介手数料どころではない数百万円、時には数千万円単位の資金を合法的にむしり取る『三為(さんため)契約』の罠が潜んでいる可能性が極めて高いからです。
⚠️ 警告:「三為(さんため)」の自称・売主は、ただの即転売屋である
「第三者のためにする契約(三為契約)」自体は合法的な取引手法です。しかし、実務において初心者の方に持ち込まれる三為物件の9割は、業者が川上で安く仕入れた物件に、莫大な「ペーパーマージン(中抜き利益)」を上乗せしてあなたに横流ししているだけの、歪んだ高値掴み物件です。
恐怖のカラクリ:3,000万円の物件が「5,000万円」に化ける仕組み
なぜ三為業者は、わざわざ「売主」として物件を持ち込んでくるのでしょうか。それは、仲介という立場(上限3%の法律ルール)では到底稼げないような、莫大な暴利を物件価格そのものにドカンと上乗せして売ることができるからです。彼らのビジネスモデルは、驚くほどシンプルで、かつ冷徹です。
ステップ1:川上での買い叩き
業者は、資金難の個人大家などから、本来の市場価値である物件を現状有姿・現金で安く買い叩く契約を結びます。(※この時点ではまだ登記は移しません)
3,000 万円
ステップ2:情報弱者へ「売主」として横流し
その物件の見た目をリフォームで少し綺麗にするか、あるいは最悪何もせず、会社員投資家に「特別な非公開の売主物件です!」と価格を吊り上げて売りつけます。
5,000 万円
業者は一円の身銭も切らず、登記費用すら「登録免許税の中間省略」というウルトラCで浮かせ、右から左へ書類を流すだけで「差額の2,000万円」を丸儲けします。これが三為契約の本当の恐怖です。
あなたが「仲介手数料150万円が浮いた!」と目先の小銭で喜んでいる裏で、業者は2,000万円の利益を懐に放り込み、あなたは購入した瞬間に2,000万円の含み損(致命的な債務超過)を抱えることになります。
なぜ、そんなバカげた価格で買って(融資が通って)しまうのか?
「でも、そんな相場より異常に高い物件なら、銀行の融資審査で落とされるはずでは?」
当然そう疑問に思いますよね。ここからが三為業者の最も狡猾な手口です。
融資は種類によっては、不動産の収益力単独での審査ではなく「この高年収の会社員なら、最悪経営がうまくいかなくても、毎月の給料からローンを返済できる」というロジックで、5,000万円のフルローンを承認できることがあります。つまり、あなたの属性と信用が「道具」として利用されているのです。価格が吊り上がるということは必然利回りは下がりますから、買った後は高い返済比率に苦労し、前回のコラムで話した「手残りキャッシュ」が残せないのに物件も手放せない、手詰まりの日々が始まります。
本物と偽物を一瞬で見極める「魔法の一言」
では、私たちはどうやって「リスクを一緒に引き受けてくれる本物の売主業者」と、「暴利を貪るだけの三為(即転売)業者」を見分ければいいのでしょうか。
騙されないための確実な防衛策は、物件を紹介された瞬間に、担当者の目を見て次の質問をハッキリと投げかけることです。
💬 「この物件、御社が買い取ってから何年間(何ヶ月間)、自社で実際に管理・運用されてきたんですか?」
もし、自社で長く管理し、満室運用の実績を作ってきた本物の売主であれば、「2年間自社で回して、修繕履歴や入居者のデータもこれだけ蓄積してあります」と堂々とエビデンスを出してきます。
逆に、粗悪な三為業者の場合は「いや、今回は仕入れたばかりの超極秘の非公開物件でして…」などと言葉を巧みに濁します。なぜなら、彼らは物件をリアルに所有・運用したことなど一度もなく、右から左へ転売して一瞬で逃げ切る前提だからです。
「責任を持ち続けるため」にあえて売主となる、コスモバンクの流儀
ここで一つ、実務における重要な例外をお話ししておきます。実は私たちコスモバンクでも、取引の形として「三為(第三者のためにする契約)」を選択することがあります。しかし、それは他社の即転売屋とは目的が180度異なります。
私たちが売主(三為)の間に入る最大の理由は、「元の売主が負うべき見えない契約不適合リスクをすべてコスモバンクが一度吸い取り、買主様に対して私たちが直接100%の責任を負える状態を作るため」です。これにより、万が一購入後にトラブルが見つかっても、お客様は完全に守られます。
✔︎ 取引物件の徹底的な厳選
当社が一定期間しっかりと自社で管理体制を敷き、中身を見極めてきた物件、または過去に当社が信頼のもとで販売した良質な物件だけに限定して三為の取引を行っています。
✔︎ 長く続く「管理」でのパートナーシップ
私たちは売って終わり、サヨナラではありません。引き渡し後の日々の賃貸管理やトラブル対応を通じて、オーナー様と一生涯にわたるリアルなお付き合いが続いていきます。
ただ右から左へ仲介をして手数料だけをもらって逃げるほうが、不動産屋としては正直圧倒的にラクです。しかし私たちは、「引き渡した後も、その物件に対して一緒に同じ船に乗り、責任を持ち続けること」こそが真のパートナーのあるべき姿だと考えています。リスク面や物件のクオリティにおいて、少しでも胸を張れないような歪んだ物件を、目先の自社利益のために顧客へ売ることは絶対にありません。
結論:自分の属性(信用)は、信頼できる本物のパートナーに預けよ
「取引態様:売主」の4文字を盲信するのは、今日で終わりにしましょう。不動産投資において、無知は最大のコストであり、カモの証明です。
業者の甘い言葉の裏にある「数字の出所」を冷徹に見極める目を持ち、自分の属性(信用)という大切な資産を、あなたと一生付き合う覚責のある、本物のパートナーに預けてください。